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商標実務のブログ

日々の商標実務で気付いたことを中心に

4条1項11号を意見書だけで頑張る

拒絶理由

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商標法4条1項11号はかなり頻度の高い拒絶理由です。

この拒絶理由はJ-PlatPatで調べるとほとんどの場合は事前に予想は可能ですが、微妙な案件を出願した場合などに通知されます。

微妙な案件は「審判までいけばいいじゃ~ん」と思われますが、クライアントが中小企業の場合は、そこまでの予算が確保できないため、なんとか意見書だけで頑張らなければならないことが多いです。

 

一口に4条1項11号の拒絶理由と言っても、対応方法は様々です。

多くは、外観、称呼、観念が非類似だよ!って反論になると思いますが、それが厳しいときはあの手この手を使って、切り抜けなければなりません。

 

外観、称呼、観念を「直球パターン」とすると、今から紹介する方法は「変化球パターン」です。

 

なお、直球パターンはこの本で網羅されていますので、こちらを参考に。

www.amazon.co.jp

 

変化球パターンの基本的な考え方は、審査官が気付いていない別の証拠をぶつけることで、拒絶理由を克服するという考え方です。下記が3つの手法です。

 

(1)先行登録の存続期間が切れてるよ!

(2)権利者が倒産しているよ!

(3)その先行登録商標、今は識別力ないよ!

 

 

(1)先行登録の存続期間が切れてるよ!

先行登録の存続期間が既に切れている場合や、拒絶理由の応答期限内に切れる場合は、これを理由に『審査をちょっと待って!』とお願いできます。

ただし、先行登録の存続期間が切れても、追納ができるので、途中でやっぱり拒絶になることはありますが。

 

私の経験では、こんな商標は更新しにくい傾向にあります。

(1−1)個人は更新しにくい

個人名義の商標は、その事業の本気度が低い傾向にありますので、登録から5年or10年経っても事業が存続している可能性が低く、更新しにくいです。

ただし、企業の社長名義だと、実質法人と変わりませんので要注意!本気度高し!

その個人をググって社長かどうか判断。

 

(1−2)代理人なしは期限落としやすい 

 代理人ない場合は、個人であっても企業であっても期限落としやすいです。大企業でない限り商標の期限管理を普段の業務に落とし込むなんて、中々できないですからね。

J-PlatPatから、出願時に代理人いるかどうか、確認。

 

(1−3)ネットで商標を使ってなければ更新しにくい

現在ホームページなどで商標を使ってなければその商標は必要ない可能性あり。

商標をググる


これらの条件が揃っても更新される可能性はもちろんありますが、一つの目安になると思います。

 


なお、存続期間満了日から1年は、追納&回復の制度があるので、審査待ちになります。

 

【参考】商標審査便覧「40.04 商標権の存続期間が満了した商標を引用する拒絶理由の通知」

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyoubin/40_04.pdf

 

1.商標法第4条第1項第11号の適用において、引用商標の商標権(国際登 録に基づく商標権を除く。)が存続期間の満了後1年以内のものである場合 には、存続期間の更新登録の申請がされていないときであっても、当該商標 を引用する商標法第4条第1項第11号の拒絶理由を通知するものとする。

・・・・・

4.たたし、本号を理由とする拒絶理由を通知した場合において、引用商標の 商標権存続期間の満了後1年の期間が経過した後に、更新登録の申請がさ れなかったことを確認したときは、当該商標を引用する第4条第1項第11 号には該当しなくなったものとして取り扱う。また、引用商標の商標権者が 更新登録の申請をしない旨の意思を示した書面を提出した場合であって、存 続期間の満了後6月の期間が経過し、第20条第3項の規定による更新登録 の申請がないことを確認したときは、当該商標を引用する第4条第1項第1 1号には該当しなくなったものとして取り扱う。

 

 

 

 

(2)権利者が倒産してるよ!

権利者が法人の場合、倒産している可能性があります。

倒産していれば、出所混同のおそれがなるくなるため、4条1項11号に該当しない可能性があります。

 

【参考判例】平成21年(行ケ)第10396号 審決取消請求事件(商標)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/479/080479_hanrei.pdf

しかし,引用商標2に係る商標権者については,本願商標の出願登録前に破産手続終結決定が確定しており,当該商標権の存続期間満了日 までの間,引用商標2がその正当な権利者(商標権者又はこれから使用許諾を受けた者)によって現実に使用される可能性は極めて低いものと 認められるのであるから,引用商標2と本願商標との間で商品の出所 についての混同を生ずるおそれはないものといえる。

 

(2−1)倒産しているかを確認する方法

法人が、倒産しているか否かは下記のサイトで確認できます。

www1.touki.or.jp

 

ここで、登記情報を取り寄せましょう。倒産していれば、その旨記載されています。

 

 

(3)その先行登録商標、今は識別力ないよ!

昔は、識別力があったけど、最近になって識別力がなくなった用語というのは結構あります。


商標を見て、ぱっと見でわかる用語なら、審査官も、弁理士も気付きます。

商品「被服」に商標「レディス」なら誰でもわかります。

 

しかしですよ、例えば最新のファッション用語ってご存知ですか・・・?

 

僕は、全くわかりません!!笑

 

ファッション用語って、時代の移り変わりも激しいし、ぱっと見では到底わかりません。例えば、下記のようなものがあるようです。

 

アから始まるファッション用語(出典:ファッションプレス

 

www.fashion-press.net

 

 

アから始まるファッション用語だけでこんなのあるんですから、全体ではどんだけあるんだって話ですよ。

 

しかも、最新の用語がドンドン増えていく。

 

matome.naver.jp

 

 どの業界も新しい用語が出てきますので、それを調べてみると意外と識別力なかったりします。 


ネットで、先行登録商標がどういう使われ方をしているのか調べる。

カタカナ、ローマ字などあらゆる変換をして調べる。

ということが重要です。

 

 

まとめ

下記のパターンで4条1項11号を意見書だけで克服できる可能性があります。 

(1)先行登録の存続期間切れ

(2)権利者の倒産

(3)先行登録商標の識別力なし

 

なお、これらの方法は、僕自身が実際に拒絶理由を克服した方法です。

今後も他の方法があれば随時追加していきます。