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商標実務のブログ

日々の商標実務で気付いたことを中心に

「パン・パイナッポー・アッポー・パン」が商標登録できるか検証!

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引用:http://rocketnews24.com/2016/10/21/815570/

 

 「パン・パイナッポー・アッポー・パン」というパンが高校の購買部で人気らしい

今、大人気のピコ太郎のPPAP(Pen-Pineapple-Apple-Pen)のパロディ商品「パン・パイナッポー・アッポー・パン」なるものがあるらしいです。

とある高校購買部でめっちゃ売れているらしい。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

rocketnews24.com

 

 

ヤフコメで気になるコメント発見!

f:id:toreru:20161028234448p:plain

引用:http://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20161021-00000042-it_nlab-life

 そんな記事を見ていると気になるヤフーコメントを発見しました。

 

「わからないけど、商標権みたいなのって大丈夫なのかな?」(ヤフコメ)

 

このコメントを見て嬉しくなる人は間違いなく弁理士知財関係者でしょう。弁理士としてはこれは検証せずにはいられませんよね?

ピコ太郎と関係ないものが商標登録できるんでしょうか?

レッツ検証!!

 

商標登録できるか検証してみました!

 

まずは、 商品について決めましょう

商標登録するには、どのような商品について権利を取得するのか決める必要があります。

今回は、商品「パン」としましょう。

そのため、下記の条件で検証します。

 

商標「パン・パイナッポー・アッポー・パン」

商品「パン」

 

想定される拒絶理由

 (1)特徴がないよ!(3条1項3号)

 3条1項3号は商標がそのまま商品の性質を表しているなど、ネーミングに特徴(識別力)がない場合に該当します。

 

例えば、商標「アップルパン」だと「りんごが入ったパンがだよね」とすぐに商標の性質がわかってしまいますので、この拒絶理由に該当することとなります。

 

では、「パン・パイナッポー・アッポー・パン」はどうでしょう。

これについても、もしかしたら

 

商標「パン・パイナッポー・アッポー・パン」の「パイナッポー」部分は、パイナップルの意味であり、「アッポー」部分は、アップル(りんご)の意味であることを容易に想起されます。

そうすると、当該商標を商品「パン」に使用したときは、全体で「パイナップルとりんごを含むパン」であることが容易に認識できるため、全体では商品の品質を表す商標であることから商標法第3条第1項第3号に該当します。

 

と、言われる可能性あります。簡単に言うと「パイナップルとりんご入っているパンでしょ。商標見たらすぐに性質わかっちゃたよ!だから特徴なし!」ということです。

 

対策方法

  • ロゴ化する
  • 反論する

パン・パイナッポー・アッポー・パン」をロゴ化すれば、ロゴ部分に特徴が出てきますので、一応この拒絶理由は克服できます。

しかし、上記の方法だと、文字部分の特徴が判断されず他のパン屋もパン・パイナッポー・アッポー・パン」を使ってもいいことになるので、文字商標で出願する方が権利範囲的にも広くなり好ましいです。

 

文字商標の「パン・パイナッポー・アッポー・パン」で出願した場合の反論方法ですが、

出願する商標は「パイナッポー・アッポー・パン」ではなく、「パン・パイナッポー・アッポー・パン」のため、このような表現は通常の取引ではされず、全体では一種の造語である旨の反論が考えられます。

 

(2)公序良俗違反だよ!(4条1項7号)

他のどの拒絶理由にも該当しないけど、商標登録を認めたくない場合は、公序良俗違反として、4条1項7号に該当する場合があります。

 

つまり、

商標「パン・パイナッポー・アッポー・パン」は、ピコ太郎の「ペンパイナップルアップルペン」のパロディだし、ピコ太郎思い浮かべるし、なんとなく公序良俗違反ですよ! 

 と言われる可能性があります。

 

反論案

ペンじゃなくて、パンだよ!関係ないよ!
パンだとペンみたいにリンゴに刺せないよ!

 

(3)ピコ太郎が売っていると勘違いするよ(4条1項15号)

商標権は、商品ごとの権利となっています。そのため、権利を取得されていない商品については原則、商標登録できるのですが、例外的に有名な商標であれば、お客さんが「あそこの商品かな?」と勘違いする可能性があるので、その場合は、4条1項15号の拒絶理由に該当する可能性があります。

 

つまり、

「パン・パイナッポー・アッポー・パン」という商品名を見たお客さんは、その商品についてピコ太郎か、その関連会社が売っていると思うよね。だから全く関係ない会社が「パン・パイナッポー・アッポー・パン」として売った場合は、ややこしいからダメだよ。 

 と言われる可能性があります。

 

反論案

いや、今回はペンじゃなくてパンだよ!全然違うよ!

 

(4)商品の書き方に問題あるよ(4条1項16号)

商品の書き方がちょっと問題あるときに、4条1項16号に該当することがあります。

専門用語では「品質誤認」と言ったりします。

 

もし「パン・パイナッポー・アッポー・パン」という商品名のパンが、パイナップルもりんごも入っていないただのロールパンだとしたら、どう思いますか?

 

ちょっと怒りますよね。

菓子パン好きの僕なら結構怒ります。

 

え?なんで?「パン・パイナッポー・アッポー・パン」なのに、パイナポーもアッポーも入ってないんですか?

 

って。

そういうことがないように

 

商標「パン・パイナッポー・アッポー・パン」

商品「パン」

商標「パン・パイナッポー・アッポー・パン」

商品「パイナップルとりんごを使用してなるパン

 

に商品を書き換えましょう。

 

-------------追記 2016/10/29 13:45------------------ 

不正の目的で出願しているよね?(4条1項19号)

ピコ太郎と売っているとは思われなくても(4条1項15号が該当しなくても)、ピコ太郎に商標権の買い取りを迫ったり、不正の目的がある場合には4条1項19号に該当します。

 

不正の目的とは?(商標審査基準引用)

(イ) 外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないこと を奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの、又は外国の権 利者の国内参入を阻止し若しくは代理店契約締結を強制する目的で出願したもの。

(ロ) 日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願したもの。

 

反論案

基本は商標非類似であるというしかありません!

 

「ペン・パイナッポー・アッポー・ぺン」(ピコ太郎)

「パン・パイナッポー・アッポー・パン」(今回の商標)

 

称呼:語頭音「ピ」「パ」が違うので非類似

外観:「ピ」「パ」部分が違うので非類似

観念:「ペン」「パン」で違うので非類似

→そのため商標非類似の旨の反論案が考えられます。

 

※周知商標が造語である場合は不正の目的があると推認されるので、今回の場合は、不正の目的がないという反論は厳しいです。

 

-----------------------------------------

 

その他(早期審査制度の利用)

そして、既に商標を使用しているので、「早期審査制度」を使って審査期間を6ヶ月から2ヶ月に短縮することが良いですね。
流行りが終わらないうちに商標登録した方がよいと思うので!

 

 

まとめ

商標「パン・パイナッポー・アッポー・パン」

商品「パイナップルとりんごを使用してなるパン」

 

で出願した場合は、下記の拒絶理由が想定されます。

  • 特徴がないよ!(3条1項3号)
  • 公序良俗違反だよ!(4条1項7号)
  • ピコ太郎が売っていると勘違いするよ(4条1項15号)
  • 不正の目的で出願しているよね?(4条1項19号)

 

感触としては登録可能性は2〜3割くらいかなと思います。

審査官によっては、運良く通してくれることもあるかもしれませんが、基本は厳しそうです。

 

以上!

【弁理士の日企画】特許庁が人工知能を具体的にどのように活用するのか考察してみたよ

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ドクガクさんの「弁理士の日」にちなんだ企画「弁理士の日記念ブログ企画2016」に参加しています。

今年のテーマは、「知財業界でホットなもの(又は新しいもの)」なので、今年結構話題になった特許庁人工知能について自分なりに考察したいと思います。

 

人工知能については独学ですので、間違っていることも多々あるかもしれませんが、読み物として楽しんでいただければ嬉しいです。

  

特許庁人工知能の導入を検討

今年の3月に特許庁が「人工知能で業務を効率化できないか調べて欲しい」との公募を始めました。官公庁で人工知能を導入しようとする試みをおそらく始めてで、話題になりました。

この事業には、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所が入札しました。この会社はこれまでも特許庁のシステムに関わっており、人工知能特許庁の業務にどこに適用できるかの把握が容易なため、選ばれたと思われます。

 

【公募】平成28年度「人工知能技術を活用した特許行政事務の高度化・効率化実証的研究事業」の企画提案の公募について

https://www.jpo.go.jp/koubo/koubo/pdf/jinkou_chinou/01.pdf

 

【入札結果】株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所

www.jpo.go.jp

 

人工知能ってそもそも何ぞや

昨今話題になっている人工知能とは、ほとんど「ディープラーニング」という技術のことを指しています。

このディープラーニングと過去の手法との最大の違いは、正解データを教えることで自動的に対象物の特徴を学習していくことです。

例えば、猫の画像を大量に与えると、耳がついていて、目がくりってしているモフモフしている動物が猫だよという条件なしに、猫の概念がわかります。

 

【参考サイト】

thinkit.co.jp

 

知財ディープラーニングで今の時点でできていることは

これまでに知財ディープラーニングの技術を使ったサービスは、UBIC(ユービック)の特許検索システム「PATENT EXPLORER」があります。

UBICは、特許分類やキーワードだけではなく、特許文書を検索の入力として、特許検索を行うシステムを開発しました。

この検索の凄いところは、これまでの職人技だった検索式の作成をしなくてもよいところです。

僕はまだ使ったことがないですが、近い将来的には、精度がガンガン上がっていきますのでこの方法がスタンダードになっていくと思われます。

 

【参考】PATENT EXPLORER

調査対象の特許文書に対して、関連性の高い文書を人工知能が判断して自動で順番に表示します。さらに関連性の高い段落をピンポイントで表示するため、全ての文書を見返す必要がありません。またフィードバックをもとに再学習も自動でおこなうため精度を高めることができます。

 

引用:PATENT EXPLORER - 特許調査・知財戦略支援システム | UBIC Lit i View - 人工知能によるデータ解析

 

特許庁人工知能を具体的にどのように活用するのか

それでは、本題の特許庁人工知能をどのように活用するのかを考察していきましょう。

今回は、「データ」「精度」「効果」の3つの軸から実現可能性を予想したいと思います。それぞれを5段階で評価します。

 

データ   :データ数が十分にあるか

精度    :実用可能な精度を達成できるか

効果    :実現されればこれまでと比べてどれくらい効率化されるか

 

 

(1)特許文献の検索(国内のみ)

総合  ★★★★★

データ ★★★★★

精度  ★★★★★

効果  ★★★★☆

 

適用方法

先ほどのUBICと同様の方法で、入力が明細書などの特許文書で、その文書と似ている順に文献を提示する機能が考えられます。

ただし、UBICはいくつか特許を取っているそうなので、その技術と抵触しないようにすることが必要です。

また、将来的には図面も入力の対象になると考えられます。文書と図面を同時に入力することにより、さらに精度を上げることができるかもしれません。

 

考察

事前の学習用のデータは、これまでの特実の明細書なので、めちゃくちゃたくさんあります。

 

精度を5段階中の5にしましたが、これはすぐに高い精度が出せるということではなく、実用化するときに求められる精度がそこまで高くないということです。

精度を求められない理由としては、あらかじめFIなどで絞っておいて、そこからさらに類似順に並び変えるということが想定できるからです。

出願日順よりかはマシだろうと思えば導入は早いかもしれません。

 

効果は、精度によりますが、明らかに似ている文献などはすぐに見つけてくれるのではと思います。1件あたり10分の短縮でも特許出願件数はかなりの数がありますので、全体では十分に費用対効果が見込めると思います。 

 

(2)特許分類付与

総合  ★★★★☆

データ ★★★★

精度  ★★★★

効果  ★★★★★

 

適用方法

特許の明細書などを入力して、FIやFタームを予想する機能が考えられます。

 

考察

データは、現在、明細書とFI・Fタームの組み合わせが膨大にあります。

ただし、FI・Fタームの中には使用頻度の少ないものもあり、それらのデータ量が足りない場合は、適切に予想することが難しくなります。このあたりをどう解決するかは課題です。

 

全自動的にFI・Fタームを決めるのであれば高い精度を求められます。

中途半端な精度であれば、修正ばっかり必要となるので、現場からは「かえってない方がマシだ」と言われる可能性があります。

しかし、その前段階として例えばFIのA~Hセクションの分類分けならば、そこそこ高い精度が出せるのではと思います。

  • Aセクション 生活必需品 
  • Bセクション 処理操作;運輸 
  • Cセクション 化学;冶金 
  • Dセクション 繊維;紙 
  • Eセクション 固定構造物 
  • Fセクション 機械工学;照明;加熱;武器;爆破 
  • Gセクション 物理学 
  • Hセクション 電気 

上記のように各分野に分けるだけでも、その後のFI・Fターム付与を得意な担当者に振り分けることができますので、効率化は期待できます。

現在でも大きな分類分けを事前に行っているようですが、それよりさらに精度が上がることでしょう。

 

効果についてですが、FI・Fタームがほぼ全自動になれば相当なコスト削減になりますが、一気には難しいでしょう。

分類分けできる数を増やしながら、トライアンドエラーで徐々に改善を重ねて精度を上げていくと思われます。

 

【参考】分類付与の方法について

分類付与事業 | 一般財団法人 工業所有権協力センター(IPCC)

 

(3)紙で提出された書類の電子化(紙から文字を読み取る)

総合  ★★★★

データ ★★★★

精度  ★★★★

効果  ★★★

 

適用方法

紙で提出された書類から文字を読み取り、電子化する機能です。

今でもこの機能は使われていますが、さらに精度が高いものを適用できます。

 

【参考】書面から文字を読み取る(OCR)の精度高いやつ

bita.jp

 

考察

データですが、すでにPC用に様々なフォントがありますので、それらを学習用データとできます。また、文字を特定するために文字の形だけでなく、文脈の自然さからも判断する場合は(例えば、「工」と「エ」の違いは文字の形よりも文脈から判断する方が適当)、これまでの明細書を学習用データとさせることもできます。

 

このように「画像」(文字の形)と「文章」という異なるファクターを一気に学習させることができるのはディープラーニングの大きな特徴です。

 

効果ですが、既にOCR(文字読み取り)はこの業務に取り入れているらしいので(特許庁の担当者に聞きました)、ディープラーニングと既存の技術の精度が明らかに違わない限り導入はされないでしょう。

ただ、文字認識はディープラーニングの得意分野でもあるので、期待はしたいところです。

 

なお、画像商標から文字を読み取り「商標(検索用)」を作成する業務も同じような方法でできますが、ロゴ化しているぶん結構難しくなります。

 

ここが改善されれば電子化手数料が安くなることが期待されます。

 

(4)特許文献の検索(海外)

総合  ★★

データ ★★☆☆

精度  ★★☆☆☆

効果  ★★★★

 

適用方法

先ほどの「(1)特許文献の検索(国内のみ)」と同様の方法です。

つまり日本語の特許文書を入力として、関連する海外の外国語特許文献を探し出す機能が考えられます。

 

考察

現在、翻訳はディープラーニングにより精度の向上が続いています。

特許用語という特殊な世界でも翻訳の精度が上がれば、海外の文献を探すことも容易になります。

 

翻訳は英語→日本語に限ったものではありませんので、中国語やその他の言語でも網羅的に精度の高い検索ができることになるでしょう。

そうすると、特許調査はもはや日本国内だけでは到底足りず、海外が文献検索の中心になっていくと思われます。

特に人工知能、IoTなど新しい技術は日本よりも米国・中国の方が進んでいますので、その傾向はますます強くなるでしょう。

 

 

(5)ウィーン図形分類付与

総合  ★★★☆☆

データ ★★☆☆

精度  ★☆☆☆

効果  ★★★★☆

 

適用方法

画像商標を入力して、ウィーン図形分類を予想する機能が考えられます。

 

考察

ウィーン図形分類はFI・Fタームと同じくデータに偏りがありますので、付与されている数が少ない図形分類をどうするかという問題があります。

 

また、「12.3.1 衛生施設」という分類であれば、お風呂や蛇口などが出てきて単純に図形の形状だけでは判断できません。

このあたりの概念的な分類もなかなか難しい課題です。

 

(6)その他

その他にも検討したものの一覧です。

 

(6−1)すぐには導入できないが実現可能

意匠分類付与

意匠類似画像検索

商標類似画像検索

(6−2)かなり厳しいが、頑張れば実現可能かも

意匠 類否判断
商標 類否判断

商標 拒絶理由通知自動作成(ただし、4条1項11号と3条の一部に限る)

(6−3)現在の技術では相当困難
特許 新規性・進歩性の判断

→論理的な考えや、抽象化などは、現在の技術で達成することは相当困難。ただ、未来はどうなるかわかりませんので、将来的には進歩性判断の候補くらいは出してくれるかもしれません。

 


特許庁業務に人工知能が使われるとどうなるか、特許庁はどう変わるか

メリット

・審査の迅速化

・先行文献の調査範囲の拡大
→より強固な権利となる

・人件費削減

→印紙代減額。特に、電子化手数料が減額

 

デメリット

人工知能の判断に引っ張られる可能性

・出願人との情報格差

→外国語文献が引用文献の中心となることが増え、出願人が調査してもほぼ調べ切れない可能性がある。

→対抗手段としてはUBICなどの人工知能を応用した検索ソフトは必須に

 

その他

・システム投資の半分くらいは、人工知能関連になる

人工知能ベンダーは嬉しい

 

まとめ

印紙代が安くなって、審査が速くなって、審査の質も向上する可能性があります。

ただ、人工知能の技術の進歩は凄まじく、専門家でさえ追いつくのが大変です。

うかうかしていると、すぐに陳腐化する恐れもあり、どれだけ早く導入できるかが鍵となってくると思います。

来年には人工知能をどこに使うかの報告書が出てきますので楽しみです!

 

最後に

ドクガクさん「弁理士の日企画」お誘いありがとうございました!楽しく記事書けました!

不使用取消審判を請求する前のチェックリスト5項目

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 商標の不使用取消審判は、形式が決まっているので審判請求書を書くことは比較的簡単です。

しかし、事前に調べておかないと思わぬところで失敗する可能性もあります。

この記事では、不使用取消審判を請求する前に今一度確認しておくべきチェックリスト5項目をまとめました。

 

(1)審判請求日は登録日から3年経過しているか

とても基本的なことですが、審判請求日が当該商標の登録日から3年経過しているかどうかを確認しましょう。

審判請求日が、当該商標の登録日から3年経過していないと不使用取消審判の要件を満たしません。

 

イレギュラーな事態が起こった場合に、こういう基本的な確認を飛ばしてしまう可能性があるので注意が必要です。

 

50条

「継続して3年以上・・・登録商標の使用をしていないときは、・・・商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」

 

 【参考審判】

shohyo.shinketsu.jp

 

 

(2)被請求人が倒産していないか

被請求人が法人の場合は、その法人が倒産していると、特許庁が審判請求書の副本を送達することができない可能性があります。

そうすると、登記簿謄本に記載している法人の代表の住所に副本を送ります。

それでも送ることができない場合は「公示送達」になるのですが、その前に・・・・

 

出願人が現地調査する必要があります!!!

 

出願人(もしくは代理人)が法人の住所地まで行き、写真パシャパシャ取り、現地の人にヒアリングします。

その後、法人の代表の住所地まで行き、同じく写真&ヒアリングが必要です。

 

僕はこの作業を行ったことがありますが、めちゃくちゃ大変です。また、事前にこの現地調査の費用を見積りに含めていないと、後から出願人にこの費用を請求することが難しくなる場合もあり注意が必要です。

 

そもそも倒産していれば、その旨を意見書で主張でき、不使用取消審判も必要がない場合もあります。

 

不使用取消審判を請求する前に、必ず被請求人の倒産状況を把握しましょう。

 

被請求人が海外の法人の場合

では、被請求人が海外の法人の場合はどうなるのでしょうか。

特許庁に問い合わせたところ、海外の場合は、住所不明でも現地調査に行かなくても良いそうです。

よかったよかった。

 

【参考サイト】登記情報調べるサイト

www1.touki.or.jp

 

【参考審判便覧】破産した会社を被請求人として請求された審判請求の取扱い 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/sinpan-binran_16/50-00.pdf

 

(3)必要な商品・役務だけを取消し対象にしているか

 不使用取消審判には2種類の取消し方法があります。

 

指定商品・指定役務の全部を取り消す「全部取消し」と指定商品・指定役務の一部だけを取り消す「一部取消し」です。

 

「全部取消し」は、欲張り過ぎのあまり好ましくない方法です。

例えば、請求人がそこまで欲しくない商品まで取消し対象としていると、実はその商品が被請求人が使用していて審判が失敗したなんてこともよくあります。 

また、全部取消しされると被請求人側は商標権の全てがなくなるので、本気で反論する可能性も高まります。

 

基本は「一部取消し」を考えましょう。欲しい商品だけ最低限を取消し対象とします。

特に被請求人側の事業と関連が深そうな商品は極力避けることが無難です。

 

対応表を書く

一部取消しの場合は、きちんと取消すべき商品が全て網羅されているかどうかを確認するために、「対応表」を書くとミスが減ります。

 

僕はこんな風に書いています。

 

(例)

相手の指定商品:「被服、ベルト、ガーター、セーター、履物」

希望する商品:「洋服」(17A01) 

の場合

     <対応表の例>

指定商品・指定役務

類似群コード

チェック

被服

17A01
17A02
17A03
17A04
17A07

×

ベルト

21A01

 

ガーター

21A01

 

セーター

17A01

×

履物

22A01
22A02
22A03

 

 

上記の表から、「被服」と「セーター」を取り消せばよいことが一目瞭然でわかります。

   

(4)他の商標登録も取消す必要があるか

1つの商標登録についてだけ不使用取消審判を請求すればよい場合もありますが、実は複数の商標登録について行わないと、希望する商標を登録させることができない場合があります。

 

希望する商標と類似範囲にある登録商標、出願商標を全て洗い出し、どの商標に対して審判請求すればよいか今一度調べましょう。

 

(5)取消予定の商標はインターネット上で本当に使われていないか

不使用取消審判をするということは、取消予定の商標が使用されていないと一定の確信があることがほとんどです。

 

しかし、カタカナ、ひらがな、英語、漢字などインターネットで網羅的な検索をして、じっくり調べれば実は使用していたこともあります。

 

取消予定の商標がインターネット上で本当に使われていないかを念入りに調べてみましょう。

 

 まとめ

不使用取消審判を請求する前にはもう一度下記のチェックリスト5項目を確認してみましょう!

(1)審判請求日は登録日から3年経過しているか

(2)被請求人が倒産していないか

(3)必要な商品・役務だけを取消し対象にしているか

(4)他の商標登録も取消す必要があるか

(5)取消予定の商標はインターネット上で本当に使われていないか

商標大量出願の対策について(裏話あり)

大量に商標出願している人(A氏)、会社(B社)はご存知でしょうか。

この商標大量出願の対策を公開します。

本当は3月に下書きしていた記事なんですが、公開すると大量出願者に手の内を明かすことになるので、よくないかなと思って下書きのままにしていました。

しかし、大量出願について昨日(2016年5月17日)、特許庁からは異例の通達があったため、僕もこの機に記事を公開することにしました。

 

特許庁からの異例の通達 

昨日(2016年5月17日)特許庁からの通知で、商標大量出願についての異例の通達がされました。

 

自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)

 

最近、一部の出願人の方から他人の商標の先取りとなるような出願などの商標登録出願が大量に行われています。しかも、これらのほとんどが出願手数料の支払いのない手続上の瑕疵のある出願となっています。

特許庁では、このような出願については、出願の日から一定の期間は要するものの、出願の却下処分※1を行っています。

また、仮に出願手数料の支払いがあった場合でも、出願された商標が、出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書)※2や、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合(同法第4条第1項各号)※3には、商標登録されることはありません。

したがいまして、仮にご自身の商標について、このような出願が他人からなされていたとしても、ご自身の商標登録を断念する等の対応をされることのないようご注意ください。

なお、これらの出願についても、出願公開公報やJ-PlatPat※4にて公表されますが、当該情報はあくまでも商標登録出願がなされたという情報の提供であり、これらの出願に係る商標が商標登録されたことを示すものではありません。

 

引用:https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm

 

特許庁の通達の要約

商標の大量出願者(以下、A氏)は、出願しているにもかかわらず、お金(印紙代)を払ってないですよ。

そのため、ほとんどは出願却下になってますよ。

また、仮にお金払っても、3条1項柱書きや4条などで拒絶できますので、心配しないでください。

だから、その商標大量出願のせいで自分の出願を諦めるなんてことしないでください!

 

 

 

審査官との余談話

 

実は僕は、3月にA氏の出願により拒絶理由を受けていて、そのことで審査官とごにょごにょ話していました。

今回の通達に関係があったかはわかりませんが、文言がそっくりだったので紹介します。

 

2016年3月頃

 

時系列

・A氏出願X

 

・僕のクライアント出願

 

・A氏出願Y(出願Xの分割出願)

 

・僕のクライアント拒絶理由通知(A氏出願Xが引用例

 

・僕、ちょっと審査官に電話←ココの話

 

 

僕「この拒絶理由の引用例の出願XはA氏のものなんだけど、分割出願の方(出願Y)は適法に行われてないから出願日は遡求してないんですよね?」

審査官「そうですよ!」

僕「ってことは、引用例は出願Xだけでいいってことですか?」

審査官「はい。しかもその出願は料金未納でもうすぐ出願却下になりそうなんで、それが却下になれば登録できますよ!」

僕「お、まじっすかーよかったー。」

審査官「そのことは拒絶理由にも書きましたよ。」

 

拒絶理由通知には、かなり珍しく、A氏の出願が登録にならなければ本願商標は登録できる旨をアンダーライン付きで記載されていました。

通常は4条1項11号は出願番号しか書いていない質素なものなんですが、めちゃくちゃ例外的にA氏の出願却下を匂わすような文言がありました。

一目見ただけでは気づかなかったです。

 

 

僕「ここから一般論の話なんですけど、A氏の分割出願が適法に行われていないことってよくあるんですか?」

 

審査官「めちゃくちゃありますよ!今のところ、A氏の出願はほとんどが却下になっていますよ!」

 

僕「まじっすかー知らなかったー。調査時に結構出てくるから、その時は拒絶される可能性があるとクライアントに伝えていたんですよねー。」

 

審査官「ここからは私も一般論としてお聞かせ願いたいんですが、A氏の出願でクライアントが出願を断念することってよくありますか?」

 

僕「え、結構、ありますよ。」

 

審査官「本当ですか??A氏を理由に出願を断念するなんて非常にもったいないですよ!ほとんど出願却下になるのに!」

 

僕「いや〜そうはいっても、A氏にお金払われたら登録される可能性あるので、代理人の立場からは中々「登録できますよ」とは言えませんよ〜」 

 

審査官「そうですか〜。もったいない〜。」

 

僕「今日は良い情報をありがとうございました。」

 

審査官「こちらこそありがとうございました。」

 

そうして電話を切りました。

審査官が「もったいない」と繰り返し言っていたことが非常に印象的でした。

 

 

商標大量出願の対策について

A氏の戦略は出願料(印紙代)を払わずに出願して、とりあえず出願日を確保して、印紙代を払わないとして出願却下になりそうならば、分割出願を繰り返すというものと思われていました。

 

最初に出願した指定商品を多く書けば、分割出願は半永久的に行えるので、一見無敵に見えるこの戦法ですが、弱点がありました。

 

その弱点とは、原出願を適切に補正ができていなくて、分割出願が遡及できていない案件があることです。

 

分割出願が適法にできていなければ、何も怖いことはありません。

あとは、原出願が出願料未納による却下処分になるときを待つだけです。

 

そのため、僕の現在の対策としては、A氏の出願の経過情報を注意深く見て、分割出願が適法に行われているかを見るようにしています。

 

また、仮に出願料を払われた場合は、特許庁の最終兵器「公序良俗違反」(4条1項7号)を基に反論しようかと思っていました。

 

特許庁の通達についての感想

今回は、「あきらめずに出願しちゃえよ!」という趣旨の通達です。

知識がない素人の人が見れば、A氏と関係ない引用例が発見されても、特許庁が「あきらめるな」って言っているから出願した!という方が出てきてもおかしくありません。そのため、多少なりのクレームが入るかもしれません。

 

それにもかかわらず、中小企業や個人のために特許庁の運用状況を開示してくれました。

 

この通達は、A氏の出願で困っている中小企業、個人に向けての特許庁からの愛のあるメッセージであり、代理人の僕にとってもめちゃくちゃ有難い通達です。

 

これにより、クライアントも説得しやすくなりますし、商標業務も円滑になります。

 

ただ、A氏がこの件を見て色々対策してくる可能性がありますので、安心はまだまだできません。今後も逐一行動を監視していく必要はあります。

商標の検索式の作り方とコツ

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商標検索するとき検索式はどうやって作れば良いのでしょうか。

僕は1000件以上商標調査をしてきて、ある時、商標の検索式の作り方にはパターンがあることに気がつきました。

この記事で紹介するパターンを使えば、ほとんど考えることなく網羅的な検索式を作ることができます。

正直、商標の検索式を作るのは特許と違ってめちゃくちゃ簡単です。

それでは、手順をみていきましょう。なお、使用するデータベースはJ-PlatPatです。


【手順1】商標の称呼の候補を出す

検索式を作る前に、最初に商標の称呼の候補を全て洗い出しましょう。


今回は、「Chrysanthemum Sky」という商標を例にします。

まずは、「Chrysanthemum」部分と「Sky」部分の称呼を確定させます。

「Chrysanthemum」部分 は何と読めばよいでしょうか?

 

読み方を調べる方法は大きく2つあります。

(1)Googleで読み方を調べる

読み方を調べるために「Chrysanthemum」「Chrysanthemum 読み方」などでググってみましょう。

 

そうすると、wikipediaが見つかりました。

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引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/キク属

 

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引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/クリサンシマム

 

 

wikipediaによると「クリサンセマム」または「クリサンシマム」と読むことがわかりました。

 

しかし、これだけでは、まだ不安です。他にも読み方があるかもしれませんので、今度は過去の登録例ではどのように読んでいたかを調べます。

 

(2) J-PlatPatで読み方を調べる

J-PlatPatの「商標(検索用)」で「Chrysanthemum 」を検索します。

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そうすると、先行登録から

  • 「クリサンズマム」
  • 「クリサンサマム」
  • 「クリサンセマム」

という称呼(参考情報)が見つかりました。

 

「Chrysanthemum 」部分の読み方

「Chrysanthemum 」部分の読み方は、下記の4つがあることがわかりました。

  1. 「クリサンシマム」
  2. 「クリサンズマム」
  3. 「クリサンサマム」
  4. 「クリサンセマム」

 

「Sky」部分の読み方

なお、「Sky」部分の読み方は「スカイ」のみで大丈夫です。

  1. 「スカイ」

※Skyの読み方について

ローマ字3文字のときは、「エスケーワイ」などローマ字読みをさせることもありますが、「SKY」の場合は、先行登録を調べると全て「スカイ」の称呼が付されていたので、「エスケーワイ」の称呼を考えなくても「スカイ」だけで網羅的な検索ができます。

 

 

【手順2】「称呼検索」の検索式を作る

結合商標「A+B」で称呼検索をする場合は、検索式は、下記の3パターンに限られます。

  1. 「A」
  2. 「B」
  3. 「A+B」

 しかし、「A」や「B」に入る称呼が複数考えられる場合は、それらの組み合わせ全パターンを考えなければなりません。

今回の「Chrysanthemum Sky」の例で考えてみましょう。先ほど調べた各部分の称呼を考慮すると下記のようになります。

1.「Chrysanthemum」

「クリサンシマム」
「クリサンズマム」
「クリサンサマム」
「クリサンセマム」

2.「Sky」

「スカイ」

3.「Chrysanthemum Sky」

「クリサンシマムスカイ」
「クリサンズマムスカイ」
「クリサンサマムスカイ」
「クリサンセマムスカイ」

 

また、J-PlatPatの「称呼検索」は一度の検索で2つの称呼を同時に調べることができます(これは時間短縮のコツです!)ので、実際には、下記の5パターンが称呼検索の検索式になります。

  • 「クリサンシマムスカイ」「クリサンズマムスカイ」
  • 「クリサンサマムスカイ」「クリサンセマムスカイ」
  • 「クリサンシマム」「クリサンズマム」
  • 「クリサンサマム」「クリサンセマム」
  • 「スカイ」

これで「称呼検索」の検索式が完成しました!

 

【手順3】「商標(検索用)」の検索式を作る

「称呼検索」で90%以上先行登録は発見できますが、たまにそれだけでは発見できない場合があります。
その場合は、「商標(検索用)」で検索する必要があります。

結合商標「A+B」を「商標(検索用)」で検索をする場合は、検索式は、下記の3パターンになります。

  1. 「A?」
  2. 「?B」
  3. 「?A+B?」

なお、「?◯◯」は前方一致、「◯◯?」は後方一致、「?◯◯?」は前方後方一致を表します。

 

今回の「Chrysanthemum Sky」の例で考えてみましょう。先ほど調べた各部分の称呼も考慮すると下記のようになります。

1.「Chrysanthemum」

「Chrysanthemum?」

「クリサンシマム?」

「クリサンズマム?」

「クリサンサマム?」

「クリサンセマム?」

2.「Sky」

「?Sky」

「?スカイ」

3.「Chrysanthemum Sky」

「?ChrysanthemumSky?」

「?クリサンシマムスカイ?」

「?クリサンズマムスカイ?」

「?クリサンサマムスカイ?」

「?クリサンセマムスカイ?」

 

ローマ字だけではなく、念のためカタカナも検索しています。案件によってはひらがなや漢字で調べた方が良い場合もあります。

また、J-PlatPatの「商標(検索用)」は一度の検索で多くの文字を同時に調べることができます(これは時間短縮のコツです!)ので、実際には、下記の3パターンが商標(検索用)の検索式になります。

  • Chrysanthemum? クリサンシマム? クリサンズマム? クリサンサマム? クリサンセマム?
  • ?Sky ?スカイ
  • ?ChrysanthemumSky? ?クリサンシマムスカイ? ?クリサンズマムスカイ? ?クリサンサマムスカイ? ?クリサンセマムスカイ?

これで「商標(検索用)」の検索式が完成しました!

 

 

まとめ

いかがでしょうか。以上の手順に沿って検索式を作るだけで、速くモレのない検索式を作成することができます!しかもパターン化しているので、楽チンです!

今すぐできる!商標の意見書力を上げる5つの方法

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商標の意見書を書いてみたものの、イマイチこの書き方で良いのか迷っている。

ってか、そもそもどう書けば正解なの・・・。

という経験はありませんか?
この記事では、意見書の力をすぐに上げることができる5つの方法を紹介します。

 


(1)名著「商標登録制度の解説と意見書24例」を読む

これを超える商標の意見書に関する実践的な本って他にあんの?っていうくらい良書です。
意見書について何から勉強していいか全くわからない場合は、まずはここから始めてみましょう。

例えば、「京都の花」(商品:茶)という商標が識別力なしとして拒絶されたときに、なぜ識別力があると主張できるのかその理由、書き方はとても参考になります。

 

www.amazon.co.jp

 

(2)他の人の意見書を読む

他の人の意見書は、ノウハウの宝庫ですね。

簡潔に短く書くタイプの人や、物量(証拠量)で押し切るタイプの人、独自の感性で書く人など、様々な書き方があります。

めちゃくちゃ参考になりますので、他の人の意見書を読む方法は最もオススメです。

それでは、他の人の意見書はどこで見ることができるのでしょう。

 

意見書の取得方法

  1. インターネット上から取得する
  2. 電子出願ソフトから包袋を取得する

 

有難いことにインターネット上に意見書をあげてくれている先生がいます。「商標 意見書」などでググるとでてきます。まずは、それらの意見書を見てみましょう。

 

しかし、ネットで上がっている意見書は、数も限られていますし、実際の意見書ではない可能性もあります。

 

そのため、やはり実際の意見書を電子出願ソフトから取得することがいいと思います。

一通当たり600円かかりますが(縦覧期間なら無料!!)、その価値は十分にあります。

 

僕も定期的に他の人の意見書を勉強しています。これはいつまでもずっと続けていきたい方法ですね。

 

【参考ブログ】縦覧について

brevaxen.blog.jp

 

 

(3)研修に行く

商標の意見書に関する研修はとても少ないですが、年にいくつかあるようです。

その中でも商標実務者養成講座(初級)はオススメです。

オススメの理由は、実際に自分で書いてみるタイプの研修だからです。意見書は、講義で聞くだけでは、絶対に身に付きません!
また、添削付きなのも嬉しいですね。

厳しい講師に当たった場合は、もしかしたら自分の意見書をボロクソに言われるかもしれませんが、それは成長の機会だと前向きに捉えましょう。

他の人の意見を聞くことは、自分の視野を広げる意味で重要です。

研修に行って実際にいくつか意見書を書いてみましょう!

 

【参考ブログ】商標実務者養成講座(初級)について

弁理士oTToのBlog(ブログ)::商標実務者養成講座(初級) - 2009年弁理士登録しました!!

 


(4)商標調査報告時に克服方法まで書く

実は、商標調査時にも意見書力を上げる方法があります。

それは、調査時に「拒絶理由が通知されることがある」などと判断した場合に克服方法まで書くことです。

調査時に想定される拒絶理由の克服方法を考えるということは、意見書の主張内容を考えることと似ています。

 

例えば、想定される拒絶理由が4条1項11号であれば、併存登録や審決例などの証拠、さらに非類似の主張ができる根拠を調査報告書に簡単に書いておくと良いと思います。

 

ただし、所属している事務所によっては調査時に克服方法まで書いてはいけないところもあるかもしれませんので、注意してください。その場合は、自分メモとしてどこかに克服方法を書いておけば、同じ効果が得られます。

 

調査時に克服方法まで考えるということは、調査する度に毎回意見書の主張内容まで考えることになるので、飛躍的に経験値が上がります。

 

 

(5)拒絶理由通知をもらっても、あきらめないと誓う

 

「あきらめたらそこで試合終了ですよ。」

 

という名言は意見書にもいえます。

 

審査官からの指摘を見ると「確かに〜!」と納得してしまうことが多いです。しかし、そこで屈してしまうと意見書で覆す気力が失せてしまいます。そうなると、審査官を説得することは絶対にできません。

 

「絶対にあきらめない!」と誓うことが、意見書を書く上では結構重要だったりします。

実際に僕は40日の応答期間で30日目以降に解決策を思い付いたことが何度もありました。どう考えてもきつい案件は確かにあります。しかし、多くの案件は何かしら突破口があるものです。頭が爆発しそうなくらい考えた案件は、自分の血肉となり今後の糧になります。

 

あきらめそうなときは、いま一度「何か突破口はないか?」と自問してみるといいと思います!

 

 

まとめ

この記事で紹介した意見書力をすぐに上げることができる5つの方法です!

  1. 名著「商標登録制度の解説と意見書24例」を読む
  2. 他の人の意見書を読む
  3. 研修に行く
  4. 商標調査報告時に克服方法まで書く
  5. 拒絶理由通知をもらっても、あきらめないと誓う

 

「審判で通ってるから、審査も通る」の落とし穴

 

 

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はじめに

今回は商標の調査報告書を書く時の落とし穴の話です。僕の失敗談を交えながら、「登録可能性が高い」「拒絶される可能性がある」などと報告するときに気をつけるべきことを解説しています。

 

僕の失敗談

商標調査のときに、ちょっと判断に迷った案件があれば審決を調べにいきますよね。

そのときに、過去の審決で全て登録になっていたらクライアントに何て伝えるでしょうか?

 

「過去の審決でこれだけ通っているから、今回の審査も通りますよ!!」

 

僕は当初そう言っていました。だって、審決で通っているんですよ?審判官が過去に登録と判断したんだから、もちろん審査官も同じように判断しますよね。

 

しますよね・・・?

 

・・・・

 

しかし、どうゆうことでしょう。 

審判でかなり通りやすい案件なのに、拒絶理由がどんどんきます!!
 
これが、「審判で通ってるから、審査も通る」の落とし穴です。
 
この落とし穴の原因を知らなければ、

「審決とは、過去に特許庁が判断した結果であるのに、審査では何で違う判断するんだ!」

「審査官は、もっと審決のこと勉強しろよ!」

と理不尽さを感じることになります。
 
「審判で通ってるから、審査も通る」の何が間違っているのでしょうか。
 
そもそも、審決とは何かということから、審査、審判の関係を下記の図で見ていきましょう。

 

審決の正体

 

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上記の図は、審査のパターンを4つに分けて示しています。

  1. 一発登録査定
  2. 拒絶理由が通知される
  3. 拒絶査定になったあと、登録審決
  4. 拒絶査定になったあと、拒絶審決

上記の図を見てもらえば、一発でわかると思いますが、審決例はあくまでも「審判官」がOK・NGと判断したものです。
審判官がOK・NGと判断したということは、「審査官」は全てNG(拒絶査定)と判断したということともいえます。

 

つまり、審決例の案件は全て拒絶査定になっていたんです!


審判で争われている案件は、審査官にとっては、パッと見た瞬間「拒絶してぇなー・・・」と思われがちな案件であるということです。
拒絶査定にならなくても、少なくとも拒絶理由は通知される可能性があると判断すべきです。

そのため、似たような審決例が多数見つかった案件については、調査報告書では、

  • 拒絶理由が通知される可能性がある。
  • その際、意見書にて反論できる可能性はある。
  • また、反論できない場合は、審判では認められる可能性がある。

などと、拒絶理由が通知される可能性があると報告しましょう。

決して「登録可能性が高い」と報告してはいけません。

「登録可能性が高い」と報告すると、通常「(拒絶理由が通知されずに一発で)登録査定になる」と認識されることがあるからです。

 

審決例を勉強するとはどういうことか

「審決例」を勉強するということは、「審判の傾向」を知るということです。
審査の傾向」を知るということではありません。

「審査の傾向」を知りたければ、「審査例」を勉強する必要があります。

つまり、どういう商標に対して拒絶理由が通知されたかを調べなければなりません。

 

 

審査例の勉強の仕方

審査例を調べることは、通常大変です。

商標の場合、特許と違ってJ-PlatPatから拒絶理由通知などの包袋は見る事はできません。

見る事はできるのは、拒絶理由の条文番号だけです(4条1項11号など)。

また、拒絶査定が確定したものは検索対象から外されますので、過去に拒絶査定が確定した案件は有料のデータベース等を使わないと見る事ができません。

 

そういった状況で、審査例を勉強する方法は下記のものが考えられます。

  • たくさん商標案件をこなす
  • 包袋を取得して、拒絶理由通知をひたすら見る
  • 審決例を見て、全て拒絶査定の案件として勉強する

この中では、商標案件をたくさんこなすことが一番の勉強方法だと思います。実践に勝る勉強方法は今のところない気がします。

 

まとめ

審決例の案件は全て拒絶査定!!

なので、過去に審判で通っても審査で通るとは限らない!

 

 

 

 

 

■番外編 ~審査例を勉強するためのチャレンジ~

商標案件をたくさんこなすことが、審査傾向をつかむ上で最も有効だと思いますが、最初のうちは案件をたくさんまわしてもらえなかったり、依頼が思ったよりこなかったりで経験を積むことが難しい場合もあると思います。

 

そこで、こんな企画をやってみようかと思っています!

 

「審査結果を予想しよう!審査100本ノック!!」

 

今出願されている商標を100コ選んでFA(登録査定か拒絶理由通知か)を当てるゲームです。

 

【ルール1】商標100件の審査をする

【ルール2】登録査定or拒絶理由通知を当てる

【ルール3】拒絶理由通知の場合は、条文番号も当てる

【ルール4】制限時間は3時間とする

【ルール5】類似群コードが全部で20を超えるものは除外してもOK(J-PlatPatで一度に検索できないので)

【ルール6】図形商標は除外する

 

正答率は7~8割いけたらいいですね~。

 

もし、この方法が商標調査の能力を上げる方法として有効であれば、今後もガンガンやっていきたいですね。

あと、事前に簡単なシステム作っておいて、極力調査を自動化していきます。

1件当たり約2分で判断しなければなりませんので、識別力調査で1分、類否判断で1分で頑張ります。