ヒアリングをもっと有意義にするための下準備5つのポイント
商標調査をする前には商標と商品・役務を確定させる必要があります。
その際に、どのような権利を確保したいのか「ヒアリング」が非常に重要になります。
この記事ではヒアリングする際の注意事項をまとめています。
ヒアリング前の下準備
いきなり、電話や面談などであれこれ聞くと無駄に話が長くなってしまったり、重要なところを聞き漏らしてしまう可能性があります。
特に商品・役務と区分の関係が全て頭に入っていればいいですが、事前に下調べしないと区分数を少なめに伝えてしまうこともあり、後々の不満にも繋がります。
ヒアリングの前にメールなどで、希望の商標と商品をざっくり聞いておきましょう。
そして、その情報を基に下記の5つのポイントを調べることが重要です。
(1)商標の使用態様を調べる
実際にホームページなどで商標を使用している場合は必ず見ておきましょう。
それによって、文字、図形、それらの結合と商標のパターンを把握します。
(2)商標の読み方・意味を調べる
文字商標の場合は、事前に読み方と意味を把握します。
英語やフランス語の場合は、発音記号やJ-PlatPatなどで一般的な読み方も調べておきます。ヒアリング時には、希望する読み方も聞きましょう。もしかすると、造語的に読ませることを希望するかもしれません。その際は、二段並記がよい場合もあります。
(3)区分を把握する
事前にもらった情報で、できる限り想定される区分を把握しておきます。
例えば、「アクセサリーを製造・販売しています。」とメールなどで情報をもらっていえば、
14類 身飾品(指輪、ネックレスなど)
26類 頭飾品(かんざしなど)
などを想定しておいて、ヒアリングでは、頭につけるアクセサリー類があるかどうか聞きます。
なければ、14類のみでOKですが、「かんざし」も中心に販売している場合は2区分の提案になるので、必ずその旨もヒアリング時に伝えておきましょう。
もし、事前に区分を把握しておかなければ、ヒアリングのあとにさらにメールなどで聞くことになり二度手間になります。
(4)J-PlatPatの「称呼検索」でざっと先行登録を調べる
「称呼検索」で区分指定や類似群コード指定なしで、ざっと先行登録商標を調べておきます。あまりにも一般的な用語ですと、競合がすぐに見つかる可能性があります。
その場合は、ヒアリング時に、不使用取消審判などの方法もあることを伝えておきましょう。
(5)クライアント企業のビジネスモデル・登録商標を調べる
新しく付き合う企業であれば、これまでどういう商品を販売していたか、どういう商標を出願していたかを確認します。
途中で社名変更などしていれば、もしかすると自社の登録によって4条1項11号に該当してしまうかもしれません。これまでの商標登録について表示変更を勧めることも必要になります。
また、商標の出願経験がないクライアントの場合は、極力専門用語を使わずに平易な言葉で伝えるように心掛けます。ある程度知識があるクライアントであれば、掘り下げて深いところまで細かく聞くことに徹します。知識のあるクライアントに対して平易な言葉で対応すると、もやもやされますし、少しなめられます。
ビジネスモデルを調べておけば、顧客が希望する区分と、本当に取得すべき区分が異なる場合などにすぐに対応することができます。
なお、慣れてくるとこれらの作業が大体10分〜15分くらいでできます。
まとめ
ヒアリングの際には下準備が結構重要です。これによりポイントを押さえたヒアリングができ、クライアントも自分も効率よく業務が行えます。
次回 「ヒアリングの方法」に続く