商標実務のブログ

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重要なのにあまり知られてなさそうな「称呼検索」の「種別」について

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商標検索するときにとても役に立つJ-PlatPatの「称呼検索」があります。

これはどのような順番で並べられているのでしょうか?

 

なんとなくいい感じに並べてくれているんだろうなぁという気がしますが、実際は誰も教えてくれないのでよくわかりませんよね。

また、称呼検索のときに「種別」という項目がありますが、これは何なんでしょうか。

 

謎ですね。

 

実はこれらの謎は、J-PlatPatのヘルプに全て書かれていまして、この「類似種別」を理解することが、調査をする上でとても重要だったんです!

 

と、いうことで早速見ていきましょう。

 


そもそも「類似種別」とは何か

「類似種別」とは、特許庁がシステム上の検索条件を15種類決めて、その15種類の条件のことです。

称呼検索のときの、「種別」とはその条件のうち、どの条件が合致したものかを表しているものなんですね!

 

例えば、種別「01」の条件は

照会した称呼とヒットした称呼とが同一音であるとき(長音の有無等を含みます。)

です。

 

長音の有無を含みますので、

「タフ」で検索した場合は、「タフ」も「ターフ」も「タフー」も種別「01」として結果が出てきます。

 

【参考】称呼検索のヘルプ

https://www2.j-platpat.inpit.go.jp/TM0/TM2/shoko_subwin_notice.html


類似種別の番号が低ければ、審査では類似と判断する傾向が強くなります。実際は、この称呼検索で出てこないものは、ほとんど類似とされません。
(もちろん例外はありますが)

 

なぜ類似種別を理解することが重要か

類似種別を理解することがなぜ重要でしょうか?
検索して出てきた商標の中から怪しい商標をピックアップするときに(これを僕は「選定」と呼んでいます)、検索結果の商標を全て均等の力で見ていくことは効率が悪いからです。

選定する際は、怪しい確率が高いところは気合い入れて見て、怪しい確率が低いところはそれなりに見ることで、メリハリをつけた調査ができます。

そうすると、精度が高く、スピードの速い調査が可能となります。


例えば、間違え探しのゲームをするときは、左上から順にローラー作戦で見るより、出題者はこの部分を変えてきそうだな〜とアタリをつけてから探すと早く見つけることができるのと同じ感覚です。

類似種別を知ることで、そのアタリをつける感覚が磨かれるのです!!

 


称呼(参考情報)について

称呼検索は、特許庁のデータベースにある「称呼(参考情報)」(以下、参考称呼といいます)という項目を基に検索しています。

 

商標「Amazonプライム」(登録5143448)であれば、下記のような参考称呼がついています。

  • 「アマゾンプライム」
  • 「アマゾン」
  • 「プライム」


人の目で見れば、この中で最も重要な称呼は、最初の称呼「アマゾンプライム」です (これを僕は「第一称呼」と呼んでいます)。しかし、J-PlatPatは参考称呼の中で重要度などつけていませんので、全て区別なく検索します。

 

その結果、「プライム」と検索すると
「01」(称呼同一)の商標として「プライム」が続く中、突如「Amazonプライム」が出てきたりします。


参考称呼のうち、どの称呼に反応して、検索してきたかを見ることが重要です。

類似種別「01」は気合いMAXで見る必要がある類似種別ですが、その中でも、商標全体の称呼と同一と、一部の称呼と同一が混在しています。

このことを意識すると商標の選定もしやすくなります。

 

 

まとめ

称呼検索の仕組みを知るとJ-PlatPatに対して「なんでこんな商標出してきてんだ?」ってこともなくなり、検索がもっと楽になります!

 

【参考】称呼検索のヘルプ

https://www2.j-platpat.inpit.go.jp/TM0/TM2/shoko_subwin_notice.html