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商標実務のブログ

日々の商標実務で気付いたことを中心に

不使用取消審判を請求する前のチェックリスト5項目

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 商標の不使用取消審判は、形式が決まっているので審判請求書を書くことは比較的簡単です。

しかし、事前に調べておかないと思わぬところで失敗する可能性もあります。

この記事では、不使用取消審判を請求する前に今一度確認しておくべきチェックリスト5項目をまとめました。

 

(1)審判請求日は登録日から3年経過しているか

とても基本的なことですが、審判請求日が当該商標の登録日から3年経過しているかどうかを確認しましょう。

審判請求日が、当該商標の登録日から3年経過していないと不使用取消審判の要件を満たしません。

 

イレギュラーな事態が起こった場合に、こういう基本的な確認を飛ばしてしまう可能性があるので注意が必要です。

 

50条

「継続して3年以上・・・登録商標の使用をしていないときは、・・・商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」

 

 【参考審判】

shohyo.shinketsu.jp

 

 

(2)被請求人が倒産していないか

被請求人が法人の場合は、その法人が倒産していると、特許庁が審判請求書の副本を送達することができない可能性があります。

そうすると、登記簿謄本に記載している法人の代表の住所に副本を送ります。

それでも送ることができない場合は「公示送達」になるのですが、その前に・・・・

 

出願人が現地調査する必要があります!!!

 

出願人(もしくは代理人)が法人の住所地まで行き、写真パシャパシャ取り、現地の人にヒアリングします。

その後、法人の代表の住所地まで行き、同じく写真&ヒアリングが必要です。

 

僕はこの作業を行ったことがありますが、めちゃくちゃ大変です。また、事前にこの現地調査の費用を見積りに含めていないと、後から出願人にこの費用を請求することが難しくなる場合もあり注意が必要です。

 

そもそも倒産していれば、その旨を意見書で主張でき、不使用取消審判も必要がない場合もあります。

 

不使用取消審判を請求する前に、必ず被請求人の倒産状況を把握しましょう。

 

被請求人が海外の法人の場合

では、被請求人が海外の法人の場合はどうなるのでしょうか。

特許庁に問い合わせたところ、海外の場合は、住所不明でも現地調査に行かなくても良いそうです。

よかったよかった。

 

【参考サイト】登記情報調べるサイト

www1.touki.or.jp

 

【参考審判便覧】破産した会社を被請求人として請求された審判請求の取扱い 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/sinpan-binran_16/50-00.pdf

 

(3)必要な商品・役務だけを取消し対象にしているか

 不使用取消審判には2種類の取消し方法があります。

 

指定商品・指定役務の全部を取り消す「全部取消し」と指定商品・指定役務の一部だけを取り消す「一部取消し」です。

 

「全部取消し」は、欲張り過ぎのあまり好ましくない方法です。

例えば、請求人がそこまで欲しくない商品まで取消し対象としていると、実はその商品が被請求人が使用していて審判が失敗したなんてこともよくあります。 

また、全部取消しされると被請求人側は商標権の全てがなくなるので、本気で反論する可能性も高まります。

 

基本は「一部取消し」を考えましょう。欲しい商品だけ最低限を取消し対象とします。

特に被請求人側の事業と関連が深そうな商品は極力避けることが無難です。

 

対応表を書く

一部取消しの場合は、きちんと取消すべき商品が全て網羅されているかどうかを確認するために、「対応表」を書くとミスが減ります。

 

僕はこんな風に書いています。

 

(例)

相手の指定商品:「被服、ベルト、ガーター、セーター、履物」

希望する商品:「洋服」(17A01) 

の場合

     <対応表の例>

指定商品・指定役務

類似群コード

チェック

被服

17A01
17A02
17A03
17A04
17A07

×

ベルト

21A01

 

ガーター

21A01

 

セーター

17A01

×

履物

22A01
22A02
22A03

 

 

上記の表から、「被服」と「セーター」を取り消せばよいことが一目瞭然でわかります。

   

(4)他の商標登録も取消す必要があるか

1つの商標登録についてだけ不使用取消審判を請求すればよい場合もありますが、実は複数の商標登録について行わないと、希望する商標を登録させることができない場合があります。

 

希望する商標と類似範囲にある登録商標、出願商標を全て洗い出し、どの商標に対して審判請求すればよいか今一度調べましょう。

 

(5)取消予定の商標はインターネット上で本当に使われていないか

不使用取消審判をするということは、取消予定の商標が使用されていないと一定の確信があることがほとんどです。

 

しかし、カタカナ、ひらがな、英語、漢字などインターネットで網羅的な検索をして、じっくり調べれば実は使用していたこともあります。

 

取消予定の商標がインターネット上で本当に使われていないかを念入りに調べてみましょう。

 

 まとめ

不使用取消審判を請求する前にはもう一度下記のチェックリスト5項目を確認してみましょう!

(1)審判請求日は登録日から3年経過しているか

(2)被請求人が倒産していないか

(3)必要な商品・役務だけを取消し対象にしているか

(4)他の商標登録も取消す必要があるか

(5)取消予定の商標はインターネット上で本当に使われていないか